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【英文和訳】臨床アロマテラピーの応用

Essential Oils in Hospitals: The Ethics, Safety, Cost and Application of Clinical Aromatherapy
原文:https://tisserandinstitute.org/essential-oils-in-hospitals/
原文掲載がロバ先生のサイトで、ジェーンバックル女史の臨床アロマテラピーを基準にかかれていたので英文和訳を試みます。

精油は、気分転換やボディケア商品、ホームレメディとして世界中で多くの人が使用しています。直近10年の間アメリカの家庭における精油に関する市場は急成長しました。精油やディフューザーはオンライン、ブティック、雑貨店、世界最大のスーパーマーケット「ウォルマート」、学校や職場のいたるところで見られ、集中力や生産性を上げたり、病気を減らしたりできるアロマテラピーの流行に乗りたがっている。

補完的、あるいは、”代替的”な薬は巨大産業になってきている。the National Institutes of Health’s (NIH:国立医薬品食品衛生研究所)によると、アメリカ人は補完統合衛生に年間302億円以上使っているとされています。この数字は、「アメリカ人の健康管理に関するすべての一時払いの金の9.2パーセント、健康管理総額の1.1パーセント」を表しています。

病院が患者への補助的治療として精油を呼びものにして賑わっている事で、結果的に、アロマテラピーは人気のある補完的な選択肢となりました。
その理由は多様ですが、病院の患者は不安や悩みを持っていたり、ストレスを感じています。彼らは、背中が開いた病院のガウンに着替えたり、裸になったり、ベッドに縛られていると、自分では制御できない事に苦しみます。そして、彼らの部屋を良く知らないスタッフがせわしなく出入りすることに混乱します。
彼らは痛みを伴う侵略的検査を受けて、医者が検査結果を検討する時の“医療用語”を解読するのに苦労します。これに気が付いて、病院側は患者自身に選択や決定の主体を返す方法を探します。従来の方法は、患者に会う時にはスタッフが自己紹介をし傾聴を行う事です。そして、患者の病状を説明する時には、“医療用語”の代わりに、簡易な表現に直し、再び患者を環境に適応させます。
しかし、これらの方法は、しばしば十分ではありません。不幸な患者はマイナス評価を残します。患者満足度は、少なくとも保険返済に部分的に拘束される事が懸念されます。

アメリカの病院の圧倒的大多数がそうするように、連邦政府の補助金を受けている病院は、満足した患者がどのように病院で過ごしたかの調査報告を求めています。それから、払い戻し過程と密接にかかわる調査結果は、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)にも報告されます。多くの病院が、多くのメディケア給付金を受けている人の入院を受け付けている為、払い戻し金を得られるかどうかは、病院の存続にも関わります。それゆえに、我々は、補完的なサービスの出現を患者の為のサポート療法としてみなします。病院は、ますます、マッサージ、音楽療法、セラピードッグ、レイキやアロマテラピーを、不安の軽減や、ストレスの管理をし、願わくば患者満足度を増加させたいと提供します。

病院でのアロマテラピープログラム

精油が“天然”である事は、それが常に安全に使えるという事ではありません。特に病弱な人には。したがって、病院内での専門的なアロマテラピーの提供は、患者の安全を最優先にしなければなりません。

施設は、できれば資格のある専門家(看護師、按摩マッサージ師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、理学療法士、作業療法士)または、訓練されたボランティアを雇います。アロマテラピープログラムを作成する第一歩は、病院内の治験審査委員会(IRB)に提出して承認を得る為に、公式な方針と手順のマニュアルを巧みに作成することです。提案されたプロジェクトが倫理的、道徳的で、ガイドラインに沿っているかを審査する役割を持っています。

正式な方針として扱われなければならない問題は以下の通りです。

  • アロマテラピートリートメントに関する患者教育
  • インフォームドコンセント(告知に基づく同意)
  • スタッフのトレーニングと認定
  • 安全に使用できると思われるオイルのリスト
  • 使用方法
  • 感染症対策
  • 準備されたオイルの安全な保管と処分
  • 安全なデータシートを利用できること
  • 内科的指示 vs 看護介入(Physician order vs. nursing intervention)
  • 記録保持
  • コスト上の問題

正式に病院に評価され容認されたアロマテラピーの方針の例はここで見られます。(credit: R.J. Buckle Associates, LLC)
※原文は「ここ」にジェーンバックル女史らの作成したPDFファイルがリンクされている。

患者の教育は、どんな病院内アロマテラピープログラムにおいても成功させるためには不可欠です。患者自身、または、ヘルスケア専門の代理人が、アロマテラピーの潜在的な有効性とリスク、そして、そのようなトリートメントを受け入れる事に同意する事を言語化して表明しなければならないことを理解する必要があります。いくつかの施設では、こういった効果に対して書面にサインを要求します。あるいは、患者の口頭での同意に関しては、医者が電子カルテ(EHR)に入力し、公認の健康管理センターによって提供され書類化されます。

古くからアロマテラピープログラムを取り入れている病院の多くは、公認のアロマセラピストを雇用しています。少なくてもアメリカ国内の13州では、公認の臨床アロマセラピスト(CCAP:the RJ Buckle Clinical Aromatherapy のコース修了者)の専門知識からプログラムの利益を得ています。
RJバックル・クリニカルアロマテラピーのクリニカルアロマテラピーコースを修了した臨床アロマセラピスト(CCAP)は、コースの中で40種類の精油のそれぞれの臨床事例を284時間かけて教室で学習指導を受け、また、筆記試験と彼ら自身の症例報告のチェックを受け、修了証明を授与されます。
CCAPコースにかかる費用や時間、要件を満たすための準備などは、アロマテラピーを使いたいスタッフを落胆させるかもしれません。そこで、CCAPコースを12時間に省略した病院スタッフの為のアロマテラピーのコース「Clinical Aromatherapy for Hospitals (CAH)」を作りました。この短いプログラムは医療従事者が、エビデンスに基づいた方法で、安全に精油を使う為に向いています。

多くのアロマテラピープログラムに使われる精油は、有効性と潜在的なリスク、そして薬物相互作用など慎重に選ばれます。精油は認定されたアロマセラピストによって研究され、選択されています。そして、発見されたことは、承認の為に病院の治験審査委員会に報告されます。共通する選択肢は、スイートオレンジ (Citrus sinensis)、真正ラベンダー (Lavandula angustifolia)、ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)、ペパーミント (Mentha x piperita)、ジンジャー (Zingiber officinale)と、マンダリン (Citrus reticulata)ですが、すべての人に使用可能なわけではありません。

入院中の院内感染への懸念は、患者と施設の双方に存在します。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、毎年170万件の院内感染が起こって、99,000人が死亡し、推定で200億ドルの保険医療費がかかっています。
いくつかの精油は、院内感染を回避する為の抗菌性があるかもしれないという研究は行われているが、臨床プロトコルが開発されていない為、承認されていません。

2016年、オーストリアで外科の集中治療室における広範囲薬剤耐性緑膿菌(XDRPA)は感染拡大し、アロマテラピーの使用と関連付けられました。その感染拡大は同じ病室の7人の患者の間でシェアされた1本の精油と決定的につながりました。XDR-PA は洗面器や精油の瓶からは隔離されて発見されました。精油を供給した同社は、連絡を受けて同じバッチの未開封の精油を提出しました。製造工場で徹底的に汚染物質を除外したサンプルのテスト結果は陰性でした。一度発見されたことで、病院はアロマテラピー製品を個別に使用するようになり、以後、同部屋の人への感染はなくなりました。

この出来事から、以前は精油の使用を共有していた病院のアロマテラピープログラムは、使い捨て可能な使用方法、最も多いものが患者一人づつの吸入器に変更され、臨床方針を変更しました。
病室内のアロマテラピー商品の適切な保管と処分は、重要な考慮事項です。精油は温度や光に繊細に変化する為、ユニフォームのポケットや明るく照らされた棚での補完はお勧めできません。その化学組成が理由で、柑橘系の精油は特に酸化傾向があって、冷蔵庫のような涼しくて暗い場所に保管するべきです。その冷蔵庫は薬品専用でなければなりません。そして、スタッフや患者の食物と空間を共有してはならない。さらに、他の薬品と同様に鍵付きの保管が望ましし、患者が病院から退院した後、アロマテラピー商品が残されていた場合は、プログラムの責任者が、病院スタッフに適切な処分の技術を教授する必要があります。病院内で使われたどのような化学物質をも記載するよう労働安全衛生局(OSHA)によって命令されている安全データシート(SDS)は、参照しやすい場所に保管しなければなりません。化学物質の特性、分かっている健康被害、物質の安全な取扱いと保管に関する注意の概要などについての情報を含んでいます。加えて、SDSは、流出物の安全な除去手順の情報の提供と応急処置を提案します。

薬物投与、臨床や画像検査、また、物理療法を必要とする患者は、医療従事者によって命じられます。しかし、アメリカの看護師協会によって定義されるように、登録された看護師の業務の範囲には以下を含んでいる。
健康と能力の維持・向上と最適化;病気と怪我の予防;治癒が円滑に行われるように支援;診断と人体反応の処置に対する苦しみの緩和;個人、家族、グループ、コミュニティ、住民のケアの中での支援;

アロマテラピーが「治療の促進」や「痛みの苦しみの緩和」ができるとして、単純なアロマテラピーによる処置を始める為に供給者の指示を得る必要はありません。正看護師は、看護計画の5つのステップにおいてアロマテラピーによる処置を実行することができます。

  • 広範囲におよぶ患者の評価
  • 看護診断を明確に述べる事
  • 短期的と長期的な目標を計画
  • 計画を実行する事
  • 計画結果の査定

使用方法

病院内でどのようにアロマテラピーを利用するかは臨床背景によって決まります。大多数のアメリカの病院では、院内『無香料』の方針があります。しかし、これらは、連邦政府の労働安全衛生局(OSHA)で正式に管理されているわけではありません。OSHAのポリシーでは「香料過敏は、特に健康に関して職場の問題でありますが、OSHAではそのような状況の屋内の空気品質基準がありません。」

しかし香料過敏の個人は、もし、人工、天然問わず、例えば、香水、精油、洗濯洗剤・柔軟剤等の香料に曝露することによって後にしめすような徴候を現すのであれば、障害者差別禁止法(ADA)のもとに労働災害を主張することができるかもしれません。
そのような徴候は以下を含みます:

  • 呼吸問題(特に肺疾患を伴う)
  • 皮膚湿疹
  • 吐き気/嘔吐
  • 頭痛
  • めまい/意識がもうろうとする状態

米国、雇用機会均等委員会(EEOC)は、影響を受けた労働者からの不満を監督しています。そして、いくつかの訴訟は判決が下され、結果、原告に数百万ドルの和解となりました。したがって、多くの職場、特に病院は、先んじて職場を無香料にする方針が発展した。
こういった状況の中で、ここからどのようにアロマテラピーが使用できるか?

積極的な芳香拡散

最も一般的な方法である精油の芳香拡散は、超音波式デフューザー(図1)の使用によるものです。これらの電気式装置は、数百mlの水を溜める受け皿のある土台があります。精油をその水に加え、装置のスイッチを入れると超音波の振動が水とオイルをかき混ぜその結果、目に見えない細かい霧を空気中にもたらします。

一般的には減ってきていますが、白い煙を立ち昇らせるネビュライザー(図2)は水を使いません。小型の電気ポンプで直接エッセンシャルオイルの瓶から吸い上げ空気中に拡散します。この装置の長所は、素早く拡散され部屋を香りで満たします。

病院職員は、部屋全体に芳香拡散することによって、患者だけでなく、家族やスタッフ全員が影響を受けるかもしれない事に気が付いていなければなりません。精油あるいは、その構成成分に過敏であったり、アレルギーがある人は、やっかいな反応に苦しむかもしれません。

超音波式ディフューザーのもう一つのデメリットは、もし、受け皿の水を定期的に取り換えなければ、それが細菌や真菌の温床になる可能性があることです。また、こぼれた水や擦り切れたコードから感電するリスクもあります。
これらの理由から、大部分の芳香拡散器は臨床現場での使用候補から落とされました。

自然拡散と加熱拡散

自然拡散は臨床現場でますます好まれます。アロマストーン(図3)のような装置は、装置の表面を穏やかに温める為に小型の電気ヒーターを含んでいます。精油は装置の外側に置かれ、それがヒーターによって温められ空気中に揮発します。この方法の良いところは、超音波式デフューザーやネビュライザーと比較して芳香拡散が限定的である事です。デメリットは電気コードにつまずいたり感電の危険がある事です。他の自然拡散装置は、多様な材料でできています。すべての製品で、精油は、装置の表面、あるいは中心に置かれ、そこからの蒸気が患者によって吸入されます。

Specimen cup(検体カップ)

検体カップ(図4)は、安価ですぐに利用できて、患者の名前、生年月日、患者番号、精油のタイプなどラベリングできて、患者のベッドサイドに置いておけます。カップの中には、精油を含ませたコットンやガーゼが入ります。使用する時は、患者がカップの蓋を自由に開けて芳香を吸入します。この方法の長所は、芳香成分が患者の周囲に限定され、かつ、患者が素早く手に取れるという事です。デメリットは、運動や認知能力に障害のある患者がカップの開け閉めができないかもしれない、容器が簡単に置き忘れられる、あるいは、患者を訪ねてくる小さな子供の手に届きやすい事など考えられます。

Personal inhaler(個人吸入器)

個人吸入器(またはアロマスティックと言う/図5)は、もうひとつの自然拡散の方法です。このプラスチックの装置は、内部に精油を染み込ませた繊維を閉じ込め一端を完全に封じ、もう一端をキャップで閉じています。患者はカバーをひねり、鼻先に持ち上げて、プラスチックの開口部から放たれる芳香を吸入します。メリットは、個人吸入器は安価で長期に渡り使用できます。デメリットは、個人吸入器は置き忘れやすいです。製品を使用するには手の器用さが必要です。鎮静状態、認知障害、手の機能が減少している患者は、利用することができないかもしれません。

アロマパッチ

アロマパッチ(図6)は、個々に利用する小さい(およそ3cm×3cm)の背面に粘着物のあるもので、患者の皮膚や、病院のガウン、衣類などに貼り付けます。それぞれ、精油かブレンドオイルを滴下できる小さな受け口があります。パッチは、揮発した芳香成分を吸入しやすいように、通常、顔の近く胸部より上に貼られます。ニコチン、ニトログリセリン、または、乗り物酔いのパッチのように経皮吸収薬とは異なり、香りのパッチは、その中の精油は受け口に残り、皮膚には触れない為、潜在的な皮膚感作を排除します。この方法の長所は、簡単な着脱ができる事、精油が皮膚につかない事、そして、衣類や皮膚に付着してるので置忘れがない事です。デメリットは、装置の費用と、接着剤が皮膚刺激になる事(これは衣類につける事で解決)です。各パッチは、使い切りで、アロマスティックが数日から数週間使用できるのと違って6-8時間の使用になります。

局所塗布

適切に希釈された精油を皮膚に塗布する事は、末期患者病棟、ホスピス入院患者を優先的に、Mテクニックの訓練を受けたマッサージセラピスト、看護師、ボランティアによって臨床現場で行われています。マッサージセラピーの長所は、ストレスと不安を減少させ、痛みの緩和、浮腫(むくみ)の減少、皮膚の健康状態を保ち、筋緊張や関節の可動域を向上させます。デメリットは、全身のマッサージは、時間や患者の身体的な制約や状態によって制限されるかもしれない事です。

アロマテラピーを行う場所

アメリカ合衆国といくつかの国(オーストラリア、イギリス、フランス)のプロフェッショナルな臨床アロマセラピストに、施設で行っている最も一般的な部位を尋ねる世論調査を受けました。
記載の多かったものは以下の通り、順不同です。

  • ホスピス / 疼痛ケア
  • 手術前後のエリア
  • 分娩・出産の病室
  • NICU
  • 小児科
  • 内科・外科フロワー
  • 精神科 / 薬物依存症センター
  • 集中治療室 / 救急救命
  • 外来患者
  • 心臓病のリハビリ / 睡眠センター /ガンケア / その他外来患者
  • 傷口の処置センター(入院患者と外来患者)

この調査を受けたアロマセラピスト全員に言及された領域のひとつは、ホスピスまたは疼痛緩和でした。重病、または、瀕死の患者は、治療への不安を軽減、乾いた、あるいは、痛みのある口腔を緩和し、困難な呼吸を楽にし、傷のにおいを減少させる恩恵を受けます。
もうひとつのアロマテラピーの日常的な実践の場は、手術前後の患者の特有の不安や苦しみに対してです。アロマスティックやアロマパッチには心が休まる精油を使用します。手術の前の心拍数、脈拍数、呼吸数、ならびに、不安を軽減させます。しばしば、外科手術の間に使用される麻酔は、術後の吐き気や嘔吐を招きます。まだ安静中でアロマスティックが持てない患者は、アロマパッチを介して精油の有用性を受けられます。または、スタッフが、吐き気や嘔吐を鎮静させる為にアロマスティックを患者の鼻先で提供することができます。
さらに、妊婦は出産時の不安や痛みを鎮静し、しばしば出産を早める試みとして精油を使う事をリクエストします。出産後は、心休まる芳香蒸留水や、会陰部を冷やすパッドの上に置かれた精油から有用性を受けられます。
病院内でのアロマテラピーにおいて、最も新しい事例は新生児集中治療室(NICU)の中でのアロマパッチの使用になります。多くのプロフェッショナルアロマセラピストは、新生児の周りで精油を使う事を避けます。NICUの新生児はとても繊細で、アロマテラピーの使用にはさらに厳格な提案があります。
しかし、ケンタッキー大学の研究では、出産時に赤ちゃんを取り出す為に母親に使用する麻酔の苦しみにアロマパッチの使用が有効な結果を示しました。新生児禁断症候群(NAS)を伴う乳児は、筋肉振動、過敏、食欲低下、落ち着きのなさが表れ、しばしば乳児の入院を長引かせます。試みで乳児は2つのグループにランダムで、NASの標準的なケア(麻酔薬の交換、弱い照明、心休まる音楽、作業療法士の訪問)を受けるグループと、これら標準的なケアにプラスアロマテラピーを受けるグループに分けられます。このアロマパッチを利用した赤ちゃん達は、使わなかったグループと比較して、彼らのNICU滞在を平均6.4日短縮させました。加えて、アロマテラピーを受けていた赤ちゃんは、標準的なケアだけを受けていた赤ちゃんよりも、投薬の必要が少なくなりました。いずれの結果も病院の費用減少につながりました。

小児病床は、病院内でのアロマテラピーのもうひとつの比較的新しい領域です。入院の間、子供達には、不安や恐れや苦しみがあります。アロマテラピーは、時々、ガイドとなるイメージと一緒に使用される事で、それたの症状を軽減します。子供たちは、アロマスティックの使用には不慣れなので、あるいは、知覚認知や発達よる興味で、アロマスティックやアロマパッチの分解をしてしまう事もあり、特別に注意が必要です。アロマテラピーは、両親や保護者の同意を伴って行われるべきで、さらに同室していることが好ましいです。

内科、外科の病床では、入院中の不安とストレスを緩和する為に、アロマテラピーは用いられ、傷による悪臭を軽減し、痛みの認識を変えています。

興味深い事には、精神科やメンタルヘルスケアの領域のアロマテラピーの使用は、ストレスや不安の軽減だけでなく、グループワークセラピーや個人カウンセリングで彼らを励まし助けました。未発表の研究において、アロマセラピストは、治療の間、アロマスティックで様々な精油を使用しました。以前、治療的なディスカッションに参加不足が見られた患者が、香りの吸入によって感情的な反応をした。一部の患者については、「子供の頃、焼き物をしている時のおばあちゃんの台所を思い出させる」と言うような明らかな反応を示したが、それ以外は、においが彼らに不快な記憶を思い出させたので、否定的な反応となった。しかし、全体的に見て、通常は寡黙な個人にさえ、吸入器はグループワークカウンセリングを活性化させた。
他の精神科の現場では、患者は、薬物やアルコール依存から抜け出すのに、処方された薬の副作用として、震え、吐き気、嘔吐、寒気、不安、不穏などの苦しみを経験しています。アロマテラピーはこれらの症状を軽減するか、認識を変える手助けをします。

集中治療室(ICU)の患者は、しばしば換気補助を必要とし、不穏と不安が見られます。アロマテラピーは、時々、ハンド・フットマッサージと併用され、不穏と不眠の解消に有用であることが分かりました。患者一人一人に、精油の瓶を使う事の重要性は、既に強調されています。

救急部門での精油の使用は、現場の資質上、いくらかの制限があります。多くの患者は、医学的に不安定な状態で、迅速かつ、ときには、救命処置の為、アロマテラピーを使用する多くの機会を排除してきました。しかし、静脈IV カテーテルの挿入の前に、未就学児童にラベンダーエッセンシャルオイルを吸入させた影響を調べた研究が少なくとも1件あります。結果は、ラベンダーを吸入した子供たちのグループが、カテーテル挿入後の即時と1雄分後の平均的な痛みを統計的に有意な減少を示したと証明した。他の研究でも、血液透析患者と手術前の患者に、カテーテル挿入前にラベンダーの吸入をする効果が論じられています。

病院内のアロマテラピーは外来患者の現場でも存在します。心疾患イベント後の患者にとって一般的に感じられる懸念は、睡眠障害です。疫学調査では、心疾患患者の中には、睡眠パターンが中断されたり、時間超過されたりと、ひどい結果につながる事が示されました。心臓バイパス手術、または、心筋梗塞のような心疾患イベントの後は、患者は、心臓機能が最大限に運動するようモニターされ、制御されたプログラムを参照します。

テキサスにてある心臓リハビリテーションプログラム、42人の患者に対して睡眠パターンとアロマテラピーのウォッシュアウトを用いた研究が行われました。患者は、ラバンジン(Lavandula x intermedia)、ベルガモット(Citrus bergamia)、イランイラン(Cananga odorata)を含んだブレンドオイルと、芳香性の偽薬(明らかではない)のどちらかを5夜連続吸入しました。その後、1週間、ウォッシュアウトの期間を設け、再び、5夜連続で前回とは反対のアロマスティックを吸入しました。それぞれの期間後、患者は睡眠品質調査(PSQI:ピッツバーグ睡眠品質指標)を受けました。精油を用いた患者は、全体を通して、芳香性の偽薬を使ったときと比べて睡眠の質が向上した。そして、PSQIスコアは低く、より良い睡眠の質を示しました。

入院患者も外来患者も希釈した精油の肌への直接塗布による創傷処置は、傷の嫌なにおいを打ち消す以外でアメリカ内では見られません。創傷処置の為のアロマテラピーは、アメリカ国外では時々使われています。しかし、傷に関して精油を使用した多くの文献は、in-vitro(試験管内)の研究です。

アメリカ国外の病院のアロマテラピー

オーストラリア

多くの場合は米国と同じく、アロマテラピーの実施ガイドラインは、病院ごとに異なります。しかし、若干の施設で、臨床現場でアロマテラピーを使用しようとするならば、治療製品局(TGA:アメリカのFDAにようなもの)の一覧にあるか、登録しなければならないとしている。Australia’s International Aromatherapy and Aromatic Medicine Association (IAAMA)の理事長であるガブリエル・リチャードソンは、医師や看護師が、正式なアロマテラピートレーニングを修了しさえすれば、その病院のガイドラインに従って、アロマテラピートリートメントの処方と管理をするかもしれないとコメントしました。アロマセラピストは、病院で認定を彼らが行うならば、トリートメントを提供できるかもしれない。オーストラリアでは、プロのアロマセラピストとして登録をする協会(IAAMA)があり、病院を含め医療施設での認定を申し込むことはできる。しかし、現在の所、オーストラリアは、アロマセラピストに免許は与えていない。その代わり、彼らには、彼らの法律上許されている処置(scope of practice)を超えて仕事する医療従事者(登録されているされていないにかかわらず)という行動規範があります。
リチャードソンとのインタビューで、彼女は宣言しました。

”拡散は、最も一般的な使用方法で、緩和ケアや病棟の広範囲に広がります。外傷の処置の間、患者の気をそらせるかもしれません。キャリア中の精油は、褥瘡ケアの為に局所的に使われます。製剤は病院内の薬局のそばで作られなければならない。そして、ガイドラインに従って看護職員によって塗布されなければならない。病院内では精油は経口摂取されてはならない。(患者がセルフケアの為に自宅から持ってきたとしても、先に述べたように病院にいる間は)”

フランス

フランスのプロフェッショナルアロマセラピストであるウェンディ・ベルコア(Wendy Belcour)は、以下をシェアしています。
“病床で精油の使用を望むとき、進める為には多くの段階があります。
サービス長は、薬剤師がそうするように、病院や地域の感染症対策、防火性、医薬品委員会、品質管理などなど、同意をしなければならない。精油は大きな総合病院より小さなクリニックの方が導入しやすいようです。病院が大きければ大きいほど、あなたが飛ばなければならないハードルが高くなります。
アメリカのアロマテラピー・プログラムの開発の進め方と似ています。

ベルコアは、精油の飲用を含める事がフランス式アロマテラピーだと、フランス国外の人たちに考えられているという事実を認めています。しかし、彼女は警告を以下のように加えています。

“フランスでは、イギリスより頻繁にオイルの内服をしている事は本当です。例えるならば、この経路は、基本的に医薬治療としての道として残してある。という感じです。もし、あなたがオイルの内服を必要としているならば、それは医学的に病気であるという事を意味しています。もし、あなたが医者でないならば、天然であれ人工であれ、薬を処方することはできません。だから、フランスのアロマセラピストとして、私は内服するオイル(カプセル、座薬、その他)を処方することはできません。私は医者ではないので。”

2018年、フランスで病院にアロマテラピーを導入する為の概要が、177ページの白書として発行されました。これは、どんな国でも提案できるもっとも包括的な臨床現場でのアロマテラピーの概要です。

イギリス

プロのアロマセラピストであり、講師であるリアノン・ルイスは、「イギリスの病院でのケアで最も進んでいるのは、ガンケアであり、ホスピスでの仕事は特に重要です。高齢者のケアも実践されていて、比較的新しく妊産婦のケアが始まっています。」と述べています。

展望と考慮

アメリカと諸外国のどちらも、誰が精油の費用を払い、どこから供給を受けるのかを含んで費用の検討は、病院でのアロマテラピー・プログラムが直面する最も重要な事です。アメリカの医療保険は、補完療法の費用を適用範囲としません。フランスもイギリスも同じく適用範囲としません。

リチャードソンのオーストラリアの報告では、効率の健康保険に加入し、公立病院の患者であるならば、アロマテラピーいよる処置は、オーストラリア政府によって保険適用になるかもしれません。自己負担の患者は、個人的な保険で、あるいは、メディケアを通した政府の助成金が支給されるかもしれません、または、その両方で、自分の治療費を払います。

さらに、大多数の病院でアロマテラピーの為の予算がありません。
精油とその他の必要とされる必需品の費用と、それを支払っているスタッフは、補完医療プログラムの提供を妨げています。
アメリカと海外の大多数の病院は、アロマテラピープログラムの資金を得る為に公的、あるいは、私的な補助金に頼っています。

病院でますます一般的な問題は、アロマテラピーの無許可の使用です。
しばしば、自宅で精油を使う事に慣れている患者は、家族にその精油を病院に持ってくるように頼みます。これが患者の特権である間、精油の彼らの好ましい使い方が、確立された安全なガイドラインに従っていないかもしれません。例えば、レモンの精油を飲料水に滴下するとか、皮膚に直接塗布をするとか。
患者は、しばしば、非常に多く院内感染症の感染への懸念を表明します。それ故に、彼らは、強力な抗菌作用のある精油のブレンドを利用することを選ぶかもしれません。この精油のブレンドは、呼吸器を刺したり、血液希釈剤に変わる働きを持っている。もし、抗菌性のある精油のブレンドを拡散したならば、呼吸器を刺激し、同部屋の他の誰にでも、咳、喘鳴、粘膜刺激を引き起こします。

訓練を受けていない病院スタッフがアロマテラピーを使用する時、特に、スタッフが精油を売るならば、安全性と倫理・道徳への懸念につながるかもしれない。
病院内では、患者は、彼らとって最大の利益をもたらす事、最も優先すべきこととして体の安全を保つ事についてスタッフを頼りにしている。もし、病院に正式なアロマテラピー・プログラムがないならば、そして、無許可の精油で誰かが有害反応に苦しむ時、その曝露物質を見つけ出す次のステップにしばしば時間を浪費します。正式なアロマテラピー・プログラムが欠如している病院は、利用できる油のSDSシートを持っていません。例えば、先に述べた“細菌と闘う”ブレンドが反応を引き起こしていても、すぐに(抗菌になって良いはずだという考えを)ひっくり返す為に必要な情報がないかもしれません。子供達や家族からもたらされるオイルの摂取または流出量という不確かな例が報告されています。子供たちがペパーミント油の瓶を開けてオイルに触れた手で目をこすった時、訓練されていないスタッフがどのように刺すような、燃えるような状態になる事を知ることができるでしょうか?正式に訓練されたプログラムのある病院では、利用できるSDSシートを持っているだけでなく、その救出処置方法も確認できます。しかし、訓練されている病院スタッフは、精油の使用についてと使い方の注意についてのポスターを貼っているでしょう。

病院でのアロマテラピーの将来は、残念な事に財政的な問題は続きます。病院への保険返済が患者満足度に縛られたままであるならば、アロマテラピー・プログラムは予想される将来において続いていくでしょう。しかし、アロマセラピストは、精油が臨床応用にとって、身体的に、感情的に、あるいはその両方にもたらす影響で利益を得られる事にすでに気が付いていました。

謝辞

著者は、これらの専門知識、援助、経験を共有してくれた以下の方々に感謝します。

  • Donna Audia:RN(正看護士), HN-BC (Holistic Nurse Board Certified)、統合ケアチームリーダー、メリーランド医療センター大学、メリーランド、USA
  • Wendy Belcour:学校長、Ecole Internationale de Santé Bien-Être(ナチュロパスの学校)、ドレミル=ラファージュ、フランス
  • Michelle Cohen:MA(文学系修士), LMT, CPMT、病院内登録アロマセラピスト、メリーランド医療センター大学、メリーランド、USA
  • Lynn Crawford:BSN, CCAP、ウィスコンシン、USA
  • Kathleen Duffy LPN, MH, CCAP-I、RJ Buckle Associates、マサチューセッツ、USA
  • Jennifer Jeffers: BS(理工系修士), LMT、補完療法主任、ウェントワース-ダグラス病院、ニューハンプシャー、USA
  • Rhiannon Lewis:学校長、Essential Oil Research Consultants、ラ・マルトル、フランス
  • Gabrielle Richardson:学校長、International Aromatherapy & Aromatic Medicine Association、クイーンランド、オーストラリア
  • Deb Rodriguez:ANP-BC, PNP-BC, CCAP, CH,心疾患と家族医療の正看護師、聖クレア病院、ウィスコンシン(USA)
  • Carol Scheidel:BSN, RN, CCAP, RJ Buckle Associates, テキサス, USA

※称号の中のCCAPは、ジェーンバックル女史のカリキュラムによる臨床アロマセラピストコース修了者の事。CCAP-Iは、そのインストラクターの資格と思われる。

Sources(参考文献)

参考文献の一覧なので、原文をご参照ください。